アーティスト 85点

アーティスト(アカデミー作品賞受賞 原題

3D時代にあえてのサイレント映画「アーティスト」見ました。2012アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞などを総なめ。しかもフランス映画なんだよこれ。アカデミー賞はアメリカ映画しか作品賞あげないからこれは快挙だよ。

映画が始まると、もう、この主演男優の口ヒゲですよ。ほんと古い映画を見ているみたい。文字の書体に衣装にクラシックカー、画面の縦横比も正方形に近い。これなら昔の名作を見た方がいいんじゃねという考えがよぎったが、白黒の画面はカラーで撮ったものを後から白黒に変換したというので色の感じは若干違うみたい。

セリフがない分、表情が豊かだよねえ。笑顔がチャーミングだよねえ。なんかほんと新鮮だ。

セリフがないからこそ成り立つ表現っていうのがあるんだなあと思ったねえ。現代の映画だとオーバーになってしまう表情や動きとか、あからさまな比喩表現とか。こういうロマンチックコメディにぴったりなんだよなあ。詩的で寓話的な味わいがあるよねえ。サイレント映画が作り上げてきた数々の表現技法が改めて素晴らしい。

そんな映画表現の遺産を復刻させる以外にも大変実験的な試みがある。サイレントからトーキーへの転換を受け入れられない主人公に映画の「効果音」が強迫観念となって襲いかかるシーン。コップを置く音、電話の音、女性の笑声が突然入ってくる。しかし主人公の声だけが聞こえない。主人公の見る悪夢のシーンだ。しかし映画の最後には音を使ってまったく逆の表現をする。タップダンスでトーキー時代に返り咲く主人公。目を輝かせるプロデューサー。ここでは効果音が逆にとても心地の良いものとして響いてくる。サイレントにあえて音をいれる。この実験にこれ以上はないという素晴らしいシーンを作り上げた。

よくないところですが主人公が苦悩するシーンがちょっと長い。立ち直るかなーと思ったらまた落ち込んだり。周りで助けようとしている人がいるのにいつまでも酒浸りでは不甲斐ない男に見えてしまう。

でもこの可愛いジャックラッセルがいつも側にいるので暗い感じにはならない。犬好きにもすごいオススメですよ。
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