テルマエ・ロマエ 70点

テルマエ・ロマエ 通常盤 [DVD]

古代ローマの浴場の設計士が現代日本にタイムスリップ。温泉や銭湯などのお風呂文化に感銘を受け次々と革新的な浴場を作り出すという話だ。面白いとは聞いていたんだけどさ、どうもその面白さが想像できないんで、ずっと見てなかったんだよねえ。でも最近よく温泉に行くからよ、その流れで見たんだけどよ、いゃ~面白かった!。完成度高い。そしてすっごく個性的な映画だねえこれは。

この映画もタイムスリップ物って言えると思うんだけど、こういう過去と現代を行き来するようなストーリーはそれこそ傑作がごろごろしていて、やり尽くされた感があるんだよね。それをお風呂の世界という一分野だけに絞り込むっていうやり方がとても新鮮だった。こういう設定なら主人公は料理人だとか、まだ他にもいろいろできるかもしれない。

限定ものということで風呂文化や古代ローマの雑学的な面白さを引き出せる反面、ニッチなスキマ産業みたいな作品になってしまう危険があるわけだ。わざわざ映画にする必要があるのか?って。そこを古代ローマのシーンをとにかく豪華にすることで日本映画の枠をも越える大作感を出してしまった。イタリアの撮影所チネチッタの巨大セットで撮られた世界は「ベンハーか?」っていうぐらいスケールがでかい。そこからいきなり日本の下町の銭湯にやってくるという、その落差がものすごい。

この映画を今まで見なかったのは「カルチャーギャップ」でひたすら笑いを積み重ねていくってものを想像していたからなんだよね。主人公ルシウスが銭湯のケロヨンのたらいを見て「なんだこれは~」みたいな。そういうのが足し算的に続くのかなあって。たしかに「ギャップ」が面白さのポイントなんだけどそんな単純なものじゃあなかった。大帝国ローマと富士山の描かれた銭湯のもうありえないほどの違和感。日本人のことをどこかの奴隷の民族としか思っていないルシウスと日本の普通のご老人達のギャップ。ウォシュレットや泡風呂を古代ローマで再現するために奴隷を使うという人権意識のギャップも強烈。タイムスリップするときには壮大なオペラをテノール歌手が高らかに熱唱するのだけど映像は便器に人形が吸い込まれていくようなチープなものとか。そういう豪華さとチープさ。ヨーロッパ文化と和風のギャップが凄い。これはローマ側を本格的に描けたことでなりたってるなあ。

またローマ→日本→ローマ→日本というような単調な反復移動だけにならないようにメタフィクションな演出が付け加えられている。テノール歌手はこの映画の外側の世界にいるという設定で出演シーンなると急いで着替えたりとか、映画オリジナルキャラの上戸彩も原作者の漫画家ヤマザキマリさんが投影されているということで、いろいろな立体感をもった作品になってるんだよねえ。

古代ローマと現代日本をお風呂への情熱で繋ぐ。そんな未知なるアイディアからここまで面白い作品を作り上げたことに驚きました。
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