地味なのに面白いイーストウッド映画

グラントリノ90点ヒアアフター85点チェンジリング 80点

グラン・トリノ [DVD]

グラントリノ90点

イーストウッドの最高傑作とのことで、とても評価が高い。しかし、ストーリーをみると、頑固爺さんの愛車を隣のアジア系の少年が盗もうとする。それをきっかけに2人の間に親子にも似た交流が始まる。というもの。かなり地味じゃね?。タイトルのグラントリノはアメリカのビンテージカーということだけど、それも興味があんまり湧かないしな〜と、思っていたのです。ところがですよ、これが、やっぱり面白かった!

この映画の面白さはなんなんだろう。すごく普通の映画のようにも思えるし、特別な演出があるという感じもしない。すごくシンプルな感じなのに、あっという間に映画にひきこまれ、登場人物に感情移入し、共に悩み、見終わったあとは深い余韻が残る。モン族という少数民族との異文化交流という変わった要素はあるのだけど、基本的には、ご近所がメインのスケールの小さな話。だけど、ちょっとしたシーンやセリフにも象徴的な意味や伏線がほどよく、無駄なく、作られていて、キリスト教、移民、戦争、などいろんなテーマを含んだ深い脚本だった。深いのに、あまりに自然すぎて、その深さが、わからない。それで感動するというか。


 イーストウッドの役はダーティハリーが爺さんになったようなイメージだよねえ。タフガイなのだが、悪態をつき、つばを吐き、息子夫婦や孫にも煙たがられている男。モン族の少年は頭が良くて思いやりもあるがアメリカというパワフルな社会でどう生きていけばいいのかわからない。この2人が師弟関係のようになり、後半に大きな事件がおきる。見ている方も、この2人といっしょに苦悩しながらどう決着をつけるのかを考えることになる。


イーストウッド以外にスターはでていないし、金のかかるシーンもほとんどない。なのにこんないい映画が作れる。イーストウッド監督は78才だというのに最高傑作を作り出す。凄い人だ!


自分の78才にもなにか作品を生み出すことができるんだろうか?


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ヒアアフター85点

あの世とはほんとうにあるのだろうか。いまだに分からないという事はやっぱりないのではないか。そういう気もするんだけど、うちの犬のガンジが亡くなったとき、あまりに悲しくて、そのとき思ったのは、人は天国がないと生きていけないということだった。ガンジが天国で自分たちを見守ってくれている。そう信じる事が大きな救いになったからだ。人は天国の存在がないと死の悲しみを乗り越えられない。だから天国があるということになっているのかもしれないと思ったのだ。

さてクリントイーストウッド監督が「あの世」をテーマに撮った「ヒアアフター」80才という、いわば死に近づいた年齢でそういうテーマを選んだことが興味深い。いったいどんなふうに描くのか。実際に鑑賞してみて、自分の想像を越えていたなあ。スピリチュアルなんだけど静かでリアルな映画でした。自分が見る前に想像していたあらすじは、大切な人が亡くなって、残された者は悲しみに暮れるわけだけど、霊界と交信することで癒され、また人生を歩き出すみたいな、そういう感じかなと。たしかにそういう面もあるんだけど、単純にそんな感じでもないんだよ。この映画の感動のポイントは説明するのが難しい。

まず3人の登場人物がでてくる。フランス人ジャーナリストの女性。彼女は旅行先で津波にあって死にかけたときに臨死体験をする。そのビジョンが頭に引っかかっていてフランスに戻っても仕事が手につかない。そしてマットデイモン演じるアメリカの霊能者。霊界と交信する仕事に疲れ果て今はその力を封印してひっそりと生きてる。最後にイギリスの少年。アル中の母親を双子の兄と守りながら頑張って生活してるんだけど、事故で兄を失ってしまって喪失感に苦しんでる。

この三人は国も違うし最初は何の接点もなく話しは別々に進んでくんだけど、後半に行くにつれてだんだん繋がっていって、ああ~こう繋がるんだ~みたいな、そのあたりが、なんか運命の糸が導いているみたいで、感動的なんだよね。それでいてわざとらしくないというか、あからさまにファンタジーとかオカルトではないし、やっぱ監督の演出が、じっくりと抑えた感じなんで、なんとも静かな迫力があるというか、深みがあるんだよなあ。国を超えた人間ドラマの背景に魂の絆がうっすらとある感じ。スピリチュアルだけど普通な感じで、マットデイモンもバリバリ普通の人でオーラゼロだし、なのに何でこんなに引き込まれて最後まで一気に見てしまうのか。イーストウッドの映画の作り方は凄いんだね。

冒頭の津波のシーン。これは凄いリアルに作られていてスペクタクルな感じだ。東日本大震災で上映中止になったのは仕方ないと思える。ただ大作CG風なシーンはここだけなのでちょっとこの映画の中で浮いた感じもする。このあたりはもう少し地味に作ってもよかったのでは。


チェンジリング [DVD]

チェンジリング 80点

息子を誘拐されてしまった母親。半月後に警察が探し出した息子は何故か別人だった。必死に訴える母親は精神病院に送られてしまう。クリントイーストウッド監督です。やっぱりこの人の映画は面白いなあ。自分と合うのか語り口が抜群なのか。すぐに引き込まれて最後まで時間を忘れて見てしまう。すごく盛り上げるわけでもないのにねえ。落ち着いていて無駄がないというか。終わってみれば140分もの長さを感じさせない作品だった。汚職が横行する1920年代のロス市警の憎たらしい事。虐待と変わらない精神病院の恐怖。当時の電話交換技師という変わった職場。明らかになる異常な子供連続殺人。アンジェリーナジョリーは出ずっぱりです。いろんな難しい演技が要求されると思う。行方の分らない息子を心配する気持ち。目の前の知らない子供をむげにもできないし。めちゃくちゃな理屈で納得させようとするロス市警に対する戸惑いと怒り。これぞ彼女の代表作でしょう。
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