バグダッドカフェ 100点

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray

20代の頃、大好きだった映画だ。ツタヤ推薦で改めて見てみたよ。完全版で長くなってる。といっても元のストーリーをほとんど忘れてたんで違いはよくわからなかった。ジャスミンが上半身丸出しで釜茹でにされるっていう想像のシーン。こんなのあったっけ?驚いたよここは。

改めて見てみて、雰囲気だけで中身がなかったら嫌かな〜と40代の自分は心配しながら見たんだけど、そんなことなかった。やっぱりイイ!。全然イイ。評価変わらず。人生のベスト20の一本だよ。

この雰囲気、ほんと最高だね。雰囲気映画かもしれない。この雰囲気にノレない方は退屈な映画だろう。ハマる人にはとっても大切な一本になるはずだ。ブレードランナーだってそうだよな。雰囲気って悪い意味で言ってんじゃないよ。雰囲気ってある種の本質だと思うんだよね。この映画からストーリーやセリフ、キャラ造形の設定などなど、言葉で説明できるようなところを全部取ってみる。そのあとに残ったもの。言葉で説明できないような部分がとにかく最高なんだよなあ。

砂漠のモーテルの部屋のあの感じ。カフェの窓から太陽光が差し込むあの感じ。給水塔をクルクル回るブーメラン。着色したフィルムの映像がまるで異世界のようだ。

物語はケンカから始まる。ドイツから来たジャスミンは旦那とケンカ別れ。バグダッドカフェを切り盛りする黒人のブレンダはいつも目ん玉ひんむいて怒っている。この怒り方が凄い。怒りがマックスこえて静かになるっていうような、まるで台風の目みたいだ。この二人が徐々に歩み寄っていく。ジャスミンがその体型のように広い心で受け止めてる。いつしか親友になっていく。ドイツ人と黒人の組み合わせ。これってジャンゴみたいだ。

この映画、あまり多くを説明しない。ジャスミンが旦那と何故けんかしたのかは語られない。ダンディな老紳士が何者なのか。ピアノでバッハばかり練習している黒人の青年。カフェに集ういろんな人がどんな人なのか分りやすく説明しないんだよね。何度か会ううちになんとなくこんな人なのかなとなってくる。フィクションなのにドキュメント撮ってるみたいな描き方なのかなあ。まるでそこに自分も旅行者となって一緒にいる感じなんだ。これがたまらなく居心地がいい。

そこにさりげなく小さな奇跡のようなものがちりばめられている。ゴトゴト動くポット。よくこんな演出をいれたなあ。なんか自意識があるみたいでカワイイ。でも誰も気がつかないんだよねえ。

黒人青年の弾くアベマリアが感情を込めたとたんガラっと雰囲気が変わる。それに聞き入るジャスミン。そこに光が当たってまるで聖母のようになっている。日常の中にふと現れる神々しい瞬間。

あたりまえだと思っていたものが無くなった時、それが実は奇跡だったのかもと思う。ジャスミンの存在がかけがえのないものだったのかは彼女がいなくなったときによくわかる。モデルとなって座っていた敷物は今は主人を失って風が通り抜けて行くだけ。クルクル回転して戻ってくるはずのブーメランは失敗して給水塔にぶつかる。そのときのゴオンという音。凄く間抜けで寂しい音がするんだよね。

物悲しい「コーリングユー」がすごい相乗効果だしてる。どちらかといえばコミカルな映画なのに、よくぞこの音楽セレクトした。半音ずつ下がって行くフレーズが耳を離れない。
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