ブレードランナー ファイナルカット

ブレードランナーを再度鑑賞してみましたよ。いろんなバージョンがあるんだけどね、映像が綺麗だという理由で一番最後のファイナルカットバージョンを見てみました。久しぶりにじっくり見てみてね、そのサイバーパンク的な世界は現代では当たり前になっているからさ、そういう部分には感動っていうのはもうなかったし、今の若い人もきっとそういう風に感じるんだろうなあと思うんだよね。ブレードランナー普通すぎて良さがわからん?みたいな。

あの当時は「未来なのにアジア!」っていうのがすごい斬新だったんだよね。アメリカやヨーロッパみたいなのがかっこよくて日本やアジアはダサいっていうのが常識だったし。東京みたいなのにかっこいい!SFなのに屋台が出てくる?ハリソンフォードの後ろに漢字のネオンとかね。これってジョンウーの「男たちの挽歌」でもアジア人なのにアクション映画かっこいいって思ったし、ウオンカーウァイの「恋する惑星」もアジアなのにおしゃれな恋愛映画って思った。

未来都市っていうと「2300年未来への旅」とか「大阪万博」のような感じだったんだよね。それを薄汚れた雨の降りしきるダークな都会っていうのに変えてしまった。このビジュアルの影響力はすごくて80年台後半から90年台通して、みんなブレランの呪縛から逃れられなかった。「マトリックス」からようやくそれがとけたよね。

この未来都市のイメージも源流はフランスの漫画家メビウスにある。メビウスは大友克洋、宮崎駿、にも影響を与えた。ベッソンの「フィフスエレメント」が反ブレードランナーみたいな明るい未来SF映画だったけど、このビジュアルもメビウスの影響があるから、やっぱみんなメビウスの蒔いた種だったんだよね。

今の時代はブレードランナー的な世界が当たり前なので、かえって「2300年未来への旅」とかが斬新でアートっぽいって感じるかも。暗い未来はいやだっていう気持ちもあるし。

そしてSF映画なのに雰囲気を重視した映像美映画ってのもすごかった。スターウォーズのような冒険活劇のようなはっきりしたストーリーがないっていうことも、大人の演出というかね。ルドガーハウアーの詩的なセリフとか。全編に漂うハードボイルドなダークな未来世界っていうのにゾクゾクきてたんだよね。この世界に浸っていたいという快感だった。

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今見ても、やっぱ強力ワカモトのシーンとか、冒頭の未来のロスの空撮、煙突から吹き出す炎、瞳のアップなんかは相変わらず素晴らしいし、ダークな未来都市が当たり前になった分、ブラッドベリアパートのゴシックな感じや、屋上のファンの回るとこの光と影の美しさとか、何と言っても霧と雨。このあたりは色褪せてなかったねえ。タバコの煙とかは、昔はそうだったよなあーー、映画館とかでもタバコ吸ってたし、って懐かしかったね。

一番の不満はやっぱり、ハリソンフォードが地味というところでしょうか。彼にどういう過去があるとか、性格描写がほとんどないし、葛藤もないし、特に活躍もしないから、あのブラスターにも憧れないし、、、最後にレイチェルと逃げるところは、ようやく心の葛藤にみたいなのが出てくるから、そこはよかったんだけど、そこで映画はブツッと切れてしまうんだよなあ。その後に15分くらい、ドラマがあるとよかったのにと思うんだよねえ。レイチェルの4年の寿命のこととか。なんでガフが見逃したのか?とか、その辺でもう一つエピソードがあるといいなと思った。ずっと降ってた雨が止むっていうのも、もっと象徴的な意味をもたせてもいいし。モノローグを取ったせいでデッカードのキャラがさらに薄まったし。ファイナルカットの変更が俺はことごとく気に入ってないんだよね。最初のが一番よかったよ。あとなんか変なホッケーマスクのダンス出てくるし。あれはダサイ。

ユニコーンの夢の件。デッカードはレプリカントかもねえーーっていうことを監督は確信犯的に入れ込んだんだよね。でも、デッカードがレプリっていう設定自体があんまり支持できないかなあ。あとタイレル博士もレプリっていう最初の設定もあったそうだしね。みんなレプリばっかりだと人間とレプリの違いはなんなのか?っていうようなテーマが薄れちゃうよね。もともとそういうテーマじゃなくて、自分の記憶は本物なのか?っていうような原作者ディックのテーマ。そっち路線のテーマをメインにしたかったのかもしれないね。

やたら、批判ばっかり書いてしまったけど。やっぱりSF映画の金字塔っていう評価は変わらなかった。大好きな映画だけに客観的に見れないってのもあるので自分では採点不能で点数がつけにくいね。自分の好きな度合いでいけば95点ぐらいいくんだけど、映画として純粋にどうなの?って言われると75点くらいかもしれないし。影響力という点だと、ゾンビ、エイリアン、マッドマックス、などを押しのけて史上最も長く広く影響を与え続けてた作品と言ってもいいんじゃないだろうか。リドリースコットはエイリアンとブレードランナーを2作連続で撮ったいうのは本当、物凄いことだよね。

ヴァンゲリスの音楽はやっぱりいいね!もうこの映像と音は切り離せないよね。最初の琴のビロビロビローーっていうのもすっごくいい。(あれって、南極物語のメロディを弾いてる琴なんだろうか。音が鉄弦のようにも聞こえるんだけど。「チャイナ」の名曲「タオオブラブ」のライブ映像では普通の琴みたいなの使ってた)

ただ、ブレランにはややロマンチックすぎかなとも感じた。ヴァンゲリスは基本的にポジティブな感じの音楽だし。水平線に向かって音が解き放たれていくような開放感のある音楽だから。特にサックスがなるあのラブシーンはちょっと恥ずかしくない?あれがいいっていう人も多いけど。ヴァンゲリスにブルージーなサックスは似合わないよ。エレピの音もこの映画にはややファンタジックすぎるかなと感じた。

それでも、まあ、些細なことで、実は同時代に作られた「炎のランナー」テーマ曲と渚を走るシーンは最高なのだけど、映画の中ではビヨーンみたいなシンセ効果音が映像とあまりにミスマッチでかなりひどかったんだよね。

ただ、サントラはすごい好きなんだ。サントラっていうよりもヴァンゲリスのオリジナルアルバムって感じだよね。エンドタイトルのあの名曲以外にも「Blush Response」っていうすごいかっこいい曲入ってるし。デッカードが写真をかカチャカチャ調べる音もいいよね。ヴァンゲリスの数ある名作の中でもブレードランナーのアルバムはベスト5に入るアルバムですね。
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